森国久の顕彰会を設立したいという動きは2010年代前半に遡るのですが、はっきりとその機運が現れてくるのは2016年の秋のことです。

2016年9月、天草架橋開通50周年記念式典が開催されました。これに歩調を合わせるように、同月、森純子・段下文男共編著による『地方創生に駆けた男―天草架橋・離島振興に命を賭した森国久』(熊本出版文化会館)という本が出版されました。

この本は樋島生まれの二人の著者による、樋島生まれの森国久について、初めて本格的に論じた本です。森国久が架橋事業に貢献したことを再評価するとともに、今日の地方創生の原点とも言える数々の事業を推進したことを再検証しようとしています。

この本の出版は、没後45年が経過するあいだに薄れていた森国久の政治理念・政治姿勢、行動原理、さらには生き方そのものを、天草に関わりのある人々の間に思い起こさせるきっかけになりました。

これら2つのできごとをきっかけに、それまで「森国久を顕彰したい」という「つぶやき」であった声が、「森国久を顕彰しよう」という大きいな声になり始めました。そして年が明けて2017年1月から「森国久顕彰会設立準備会」の立ち上げの動きが、勢いのある川の流れのようになっていきました。

7名の発起人が中心となって設立の準備をすすめました。今なお光を失っていない《宝もの》を森国久の人生のなかに発掘・発見し、その輝きや手触りを確かめ、地域の方々のみならず全国の皆さまにその真価をお知らせしたいという願いから議論を重ねました。

そしてついに平成29年(2017年)4月に本会を設立し、天草に関係のある4名の現役首長と1名の学識経験者、計五名の方を顧問に迎え、同8月26日に、森国久が生まれ育った樋島において設立総会(記念祝賀会)を開催することができました。
■■■■■■■■■■■■■  (H.T.2017)