農業従事者のための成人大学講座

離島の産業
離島の主な産業は何かと聞かれると、漁業、農業、海運業、観光業だ、と答えるとまず間違いがありません。ただし、どの離島もこの4種類の産業が揃っているかと聞かれると、そうではありません。それぞれの島が置かれている地形その他の環境条件によってちがいます。

現在でもそうですが、離島を振興していくためには、離島に住む人自身が与えられた条件のなかで振興の知恵を絞っていかなければならないのです。森国久は龍ヶ岳村村長(のち町長)、天草振興協議会の会長、天草郡町村会長、観光協会会長などを努めていましたから、このことを常に念頭に置きながら離島振興行政の仕事に従事していました。

天草の農業振興
ここでは、彼が農業にも注目し、農業者のための成人大学講座を開講した話をします。この話は森国久が策定した別の計画、つまり農業の拡大発展を目標においた養鶏、養豚、果樹栽培の五カ年計画と一つながりの計画でした [みくに, 昭和36年5月19日]。具体的には養鶏一〇〇万羽、養豚一万頭、果樹一〇〇ヘクタールの達成を図ろうという計画です。

農業者のための成人大学講座
亡くなる約三年前の昭和33,4年(1958-1959)頃、彼はこの事業計画を描いたのですが、熟慮を旨とする彼の考えでは、それが「絵に描いたもち」にならないようにしなければなりませんでした。そこで「目的完遂には農業者の勉強が第一」ということで龍ヶ岳町公民館を会場として、昭和36年に成人大学講座を開講したのです。

自らも講師に
天草の地方紙「みくに」(5月19日付け)が報じるところによると、昭和36年春からの第1回講座では、森国久村長自身が、「農業基本法」、「農業近代化施設資金制度」などの講義を担当している。講座は月二回開講され、これら以外に熊本県の職員でもある各分野の専門家の講師たちがそれぞれ、「果樹園芸学」「畜産学概論」「季節の養鶏、豚」などの講義を担当しました。

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